記帳代行とは?メリットデメリットから徹底解説

記帳代行サービスは、企業の日々の財務活動を代行し、経理担当者の負担を軽減するサービスです。
記帳代行サービスは経理業務の質を高め、コストを削減するなどのメリットがありますが、具体的なサービス内容、料金相場やデメリットがわからず利用を躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では、記帳代行の利用を検討している人に向けて記帳代行サービスの料金相場やメリットデメリットをわかりやすく徹底的に解説します。

目次

記帳代行とは?

記帳代行は、個人や企業の帳簿作成業務を代行するサービスです。

専門の会計士や事務スタッフが、帳簿の作成や経理関連の業務を代行してくれることが一般的で、クライアントは自身の業務に専念でき、正確かつ効率的な会計処理が確保されます。

事業を行なっていると、バックオフィス業務に時間と人を取られることも多いですが、記帳代行サービスを利用すると内部で会計部門を持つコストを削減するという意味でも有効です。

対応できる業務

記帳代行サービスが対応できる主な業務4つを紹介します。

  1. 財務記録の管理
  2. 会計帳簿の作成
  3. 財務報告
  4. 税務申告の支援

財務記録の管理

財務記録の管理は、企業の健全な財務状況を維持し、正確な会計情報を提供するために不可欠ですよね。

取引記録、銀行明細との照合、債務管理など、時間がかかるのに正確性を求められる業務なので、記帳代行サービスに委託することで、企業はより自分の事業に集中することができます。

会計帳簿の作成

会計帳簿の作成は、税務申告や監査などでとても重要な作業ですが、仕訳帳の作成に、総勘定帳の整備、試算表の作成など、これにも時間と人件費がかさんでしまっていませんか?

会計ソフトを使えば、効率化できる作業ですが、記帳代行サービスを使うと効率と合わせて正確性も期待できます。

財務報告

財務報告とは、企業の財務状況、業績、キャッシュフローを示す公式な文書です。
これらの報告は企業の健全性と透明性を示し、株主、投資家、債権者、その他の利害関係者にとって重要な情報源となります。財務報告は特に会計規則や税法、会社法など複雑なルールに則って作成しなければいけません。頻繁に改正されますし、全部を追うことは専門家でなければ難しいのではないでしょうか。記帳代行サービスはそれを専門にしているだけあって、法改正など頻繁な改正にも対応しています。

税務申告の支援

さらに、税務申告書類の準備や、税務上のアドバイスも行うサービスなので、記帳代行サービスに会計業務を委託することでバックオフィスがかなり効率化、正確化されることになります。

H26法改正

少し前までは、記帳や記帳の保存の義務があったのは事業者の一部でした。

しかし、記帳がされていないと、税務調査が入った際などに透明性を担保することができないなど問題があったことから、平成26年1月の税法の改正によって、すべての白色申告者に記帳や記帳の保存が義務付けられました。

すべての事業者に記帳業務を義務化されたことで、事業の規模に関わらず、記帳業務が重要視されていることや、取引の透明性を確保することが求められています。

経理代行との違い

記帳代行とよく似たサービスに経理代行があります。

その違いは業務範囲。

記帳代行の場合、帳簿付けや会計ソフトへの入力のみを行うことが一般的ですが、経理代行は、記帳代行に加えて請求書の発行や支払いの代行など、幅広い業務に対応しているのが一般的です。

業務範囲が広いため、経理代行サービスのほうが料金が高くなります。

経理代行と記帳代行どちらにしようかと迷ったら、必要な業務を洗い出したうえで、絶対に依頼したい業務を全て頼める方を取れば良いと思います。

記帳代行メリット

  1. 経理担当者の負担を軽減できる
  2. コストの削減につながる
  3. バックオフィス業務を効率化できる

①経理担当負担軽減

記帳代行サービスを利用することで経理担当者の負担を抑えられます。

経理業務にかかる時間と労力を大幅に削減します。これにより、帳簿作成以外の給与計算や買掛金・売掛金管理といった業務や、事業のにより必要な業務に集中できるので、業務の効率化ができ、経理担当者の人数が少ない企業や、本業に集中したい個人事業主に効果を発揮するでしょう。
もちろん、記帳業務は正確性を重視される業務ですから、チェックする管理職も最低限でよくなりますよね。

なので、会計担当者だけでなく企業全体として事業に集中できるようになります。

②コスト削減

記帳代行サービスを利用することで、内部での専任の会計スタッフの雇用が不要になります。
担当者分の教育にかかるコスト、雇用コストを含めた人件費を削減。
記帳をメイン業務とする従業員を月給20万円で雇用している場合、月額5万円の記帳代行に切り替えれば、毎月15万円以上を削減できます。

③効率化

会計の専門家による記帳代行サービスは、最新の会計基準に準拠し、最適な方法で財務管理を行います。これにより、高度な専門知識を内部で持つ必要がなくなりますし、質の向上にも期待ができますよ。

記帳代行では、細かい毎日の記帳作業におけるミスの軽減や、法改正にも迅速に対応できるようになるので、面倒な税務上の問題の発生を未然に防ぐことができますし、企業の信頼性を高めることにも繋がりそうですね。

記帳代行デメリット

  1. ①違法な会社に当たる場合がある
  2. ②情報漏洩リスク
  3. ③経理データをすぐに把握できない

①違法な会社に当たる場合がある

記帳代行には特別な資格は必要ありませんが、記帳代行+αの業務は税理士資格が必要な業務の場合もあります。

たとえば、税務申告や年末調整の業務を代行する場合は税理士の資格が必須です。税務申告等まで請け負ってくれるのに他の事業者と比べて安い時には要注意。

代行会社が無資格で税理士業務を行うと税理士法違反となります。その代行会社が作成した書類に署名捺印した場合でも、同様に税理士法違反となり、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があり、会社にとってかなりのリスクになります。


税理士の資格を保有していないと以下のような業務を行うことができません。

主な非税理士禁止行為
  1. 税務代理
    納税者に代わって税務署へ税金に関する申告や申請を行うこと
  2. 税務署類の作成
    納税者に代わって税務署に提出する申告書等を作成すること
  3. 税務相談
    税務官公署に対する税務申告や陳述、課税計算などに関する相談を受けること

参考:非税理士により行うことが禁止される税理士業務|国税庁

業務を委託している会社や個人事業主が罰せられることはありませんが、記帳代行をお願いしている会社が急に業務を停止するといった事態に陥った場合は代わりの会社を探すことも一苦労です。

また、無資格者に書類作成を依頼してしまっていた場合その書類の効力がなくなり一から作り直さなければならなくなったりする可能性もあります。

そうなればとても大変ですので、記帳代行サービスの委託業者は最初から安いだけで選ばず、しっかり調査してから選びましょう。

②情報漏洩リスク

記帳代行サービスを利用するということは、社外の第三者が自社の経理情報を扱うことです。

社内の秘密情報が流出してしまう可能性もゼロではありません。

記帳代行サービスを利用する場合は、秘密保持契約を結ぶなどセキュリティがしっかりしているところを選ぶというのもポイントです。

③経理データをすぐに把握できない

記帳業務を利用することで、自社におけるお金の細かい動きについて、把握しにくくなる可能性もあります。経理代行を利用する場合は、なにか問題が起こった際にも対応してくれるサポート体制が強いサービスを選ぶと安心です。

記帳代行サービスを利用するときの流れ

STEP
打ち合わせ・プラン決定

経理代行サービスとプランや記帳業務について打ち合わせ

STEP
送付する資料の準備とチェック

依頼主が記帳代行サービスへ送付する記帳に必要な領収書や書類を準備

STEP
経理資料の送付

記帳業務に必要な書類が揃ったら、記帳代行サービスへ、資料を送付

STEP
会計システムへの記帳

記帳代行サービスが、送付されてきた書類をもとに、会計ソフトへ情報を入力

STEP
月次決算等の作成

記帳代行サービスは、記帳内容に基づき、月次試算表等を作成

STEP
依頼主への報告書提出および承認

記帳代行サービスは、依頼主へ月次試算表等を提出します。

必要な書類

  • 預金通帳コピー
  • 現金出納帳
  • クレジットカード明細領収書
  • 請求書請求書
  • 売上管理表給与データ(給与明細や賃金台帳)

記帳代行を依頼する場合も、必要書類や資料の準備は必要です。
記帳に必要な書類を、準備しなくてはならないという点は認識しておきましょう。

契約前に確認すべき事項

契約条件

記帳代行サービスを利用するうえで、契約期間の定めがあるかを確認しておきましょう。
求めている内容と異なった場合、長期間の契約をしていると契約解除ができない場合があります。長期契約をして問題が発生した場合、コストも時間も無駄になってしまいますサービスを契約する場合は、契約期間の定めの有無を確認しておきましょう。

また、記帳代行を利用する場合、機密情報の取り扱いや守秘義務の明記など、情報管理が強化されているかどうかを注意しておかなくてはなりません。情報漏洩のリスクに対する不安は契約前にしっかりと対応してもらいましょう。

記帳代行を利用する際は、決算申告業務を誰が担うのかという点を明確にしておきましょう。記帳業務は誰でも行えますが、決算申告は、納税者もしくは税理士しか行うことができません。記帳代行を利用しているからといって、決算申告を代行してもらえるわけではないため、社内でやれるのか、それとも税理士に委託するのかなど決めておく必要はありそうですね。

 費用

記帳代行の料金について、100仕訳あたり10,000円程度が相場。

相場を100仕訳10,000円程度として考えた場合、検討するサービスが安いのか高いのか、平均的なのかどうかを判断しやすくなります。この金額はあくまで目安で、記帳代行サービスの種類によって料金が大きく変わります。

経理・会計の専門家である税理士事務所や会計事務所よりも、記帳代行の専門会社に外注したほうが費用を抑えられるケースも珍しくありません。

ただし、必ずしも低料金のサービスだから良いわけではなく、業務を委託する範囲は適切か(非税理士行為を行わないか)、秘密保持できるかなどリスクを考えたり、サービスの評価はいいかなど総合判断して決めるようにしましょう。

まとめ

記帳代行サービスを利用すると、業務効率化やコストダウンにつながるというメリットがあることがわかりました。

利用を検討する際は、自社の経理業務を見直した上で依頼範囲を見極めることが重要です。

記帳代行サービスには月単位で依頼できるものも少なくありません。現状は利用の必要がないという場合でも、経理担当者の急な退職といった有事に備え、依頼先の候補を検討しておくのも有効ですね。

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